カワカミブックス

本の感想。かなり個人的。かなりネタバレ。

『警官倶楽部』大倉崇裕 祥伝社文庫

警官倶楽部 (祥伝社文庫)



『警官倶楽部』大倉崇裕



『白戸修の事件簿』以来二度目の大倉さんです。

白戸は推理に関しては後手後手なイメージですが、今回の『警官倶楽部』の面々は積極的でアグレッシブですね、、

話の形は高野和明の『グレイヴ・ディッガー』と似てるかな。
長い期間をかけて謎を一つ一つ解明する、または一つ解明するとまた新しい謎が一つ現れる
というのではなく、
多くの謎(というか敵)に短期決戦でこの話は挑んでます。

エンターテイメント小説としては評価できると思います。
推理小説ではないですけど。

良い点をあげるとすれば、
・後半の飽きさせない展開
・キャラクターの(過剰なまでの)分かりやすさ
・アクションシーンの気持ち良さ
・話が全体的に分かりやすいこと
・伏線回収をしていること
ですかね、、

後半は本当に展開が急で笑
前半が結構誘拐の対応などで後手に回っていて読んでいて退屈だったのに比べるとサクサク読めました。
あと、この警官倶楽部は登場人物律儀にも一人一人に一つづつ役割を課しているようで、、
倶楽部のメンバー多いんですよね笑
しかし話し方など書き分けできていて、読んでいてごちゃごちゃになることはなかったです。
まあ、多いせいで登場人物の重要性の薄まりは感じられます。
アクションシーンはもうバカバカしいほど典型的で笑
肉弾戦に始まり銃撃戦、最後は爆弾ですよ。笑
どんなだよ。笑
あと、伏線回収比較的きちっとやっているところは好感持てます。
かすみの理由とか株価と商品回収とか。
まあ伏線回収は当たり前体操、、


次悪い点です。
・キャラクターしつこい。そのくせブレブレ
・ご都合主義、、
・最後早足すぎる
・うやむやに終わらせるなよ

まずキャラクター。
読んでて不快だったのがかすみのキャラですね。
わがままだわ、めんどくさいわ、すぐ泣くわ、女を武器にするわ、、
かすみ何キャラ??
初めは何だこの一昔前のラノベヒロインの典型は、、という感じで。
途中までかすみはきゃよわい女の子(おばさん)のイメージでした。

あっこれおばさんってそのうちブーメランになりますかね笑

でも読み進めるとかすみは背もあって剣道も強くて頑丈そうとまで言われ、警官に向いていると言われている。
でも文から読み取れるかすみはネガティブで感情的で腰をくねらせたりちょっとエロいネタに使われたりする女性的女性です、、
警官に向いているかすみがでてくるのなんて最後のほうの投資同好会を懲らしめてるときだけでほかは女性的役割を押し付けられてますし。

わたしはかすみが嫌いなんじゃなくて、かすみにそういうキャラをつけた作者の考えが嫌いなんですね。美形で、強気で、でもおくびょうだったり心配性だったり泣き虫だったり、自分が女性であることに自覚的で、子供に気をつかえて、料理も得意で、かと思えば腕っぷしは強い。
いや、詰め込みすぎ。女性に求めすぎ。

あと森田の大学生って設定も全く生かせてないし(就職浪人ならほぼフリーターでは?)、関谷は短気すぎて意味がわからない。
大葉さんの登場によって関谷の腕っぷしの重要性のウェイトが減ったし。

読んでて、森田はいったい何なんだって感じだし、関谷はお前会話の邪魔するなって。

ご都合主義と最後の駆け足は、、
飽きないんだけどね、、
いや何でだよっ ていう
黒幕が天道である必要性な~仲間ではあったけどかなりサブで影薄かったからなあ。
黒幕っていわれても、へ、へえ。お久しぶりです。みたいな。


あと最後。これめっちゃだめ。
結論つけないの。
いや確かに東京支部壊滅、同好会懲らしめ、返金期限は伸ばすことに成功したけどそれって何にも解決してないよね?
東京支部は爆破しただけで手に入れた強盗の証拠は使ってないし、
同好会も大学側に通告するとかしてないし(仮にも公認サークルがやってたんだよ、、)
お金も結局まだ返せてない。
ていうか倶楽部メンバーにリッチパーソンいたよね?そいつに無利子で借りなよ、、

結局ギヤマンの鐘は本部は何も変わらず村垣の父さんは見つからず近藤も部屋から出てこない。(ていうか結局近藤の姿を見ることはなかったな、、存在すんの?)

一番いやなのは次もあるよって感じで終わりにするところです。いやねえよ。
思えば倶楽部の記述に関してあたかも前作での活躍です~倶楽部はちょっと名が通ってるんです~いままでも事件を解決したんですよ~ぶってるけど、必要性ないのでは?
前作もないし、続編もないよ。

あと、感じた違和感がわかったんですけど、この話警官に関することが出てきてはいても本当の「警官」は出てこないんですね。エピソードとかコスプレ野郎ばっかりで。
たしかに警官じゃないけど警官っぽいことするのが趣旨なのかもしれないけど、これだけでかくて危険なことやってて、全く関わりないのはおかしいかと、、
あんだけ違法なことしてどっちがお縄にかかるんだかって感じだから、警察とのせめぎあいみたいなのあったらスパイスとして良かったなー
ほんのちょっとだけでいいから、覆面パトカー(偽)に乗ってたら本物にすれ違われるとか検問かかりそうになるとか、聞き込みしてたら本物とはち会いそうになるとかあったらマンネリ回避になるのにな
あまりにも現実から解離していてね~。



結論としては、細かいことを気にしない人にとったら楽しめるエンターテイメント小説だけど、細かいことを気にする人からしたらイラッとするしよくわからん感じの小説です。

後半は面白いですけど結論はつまんないと思います。

暇つぶしにはなるし、読みやすいけど、それだけって感じですかね、、


今回愚痴が長くてごめんなさーい!
読んでいただきありがとうございました!